「マーケティング」という言葉を聞いたことがない人っておそらくいないのではないだろうか。
でも、どういううこと?と聞かれてパッと答えられる人は少ない気がする。
みんななんとなくはわかってるけど、逆に言えばなんとなくしかわからないのがマーケティングだ。
でも勉強するにしてはハードルが高く、それなりに腰を据えて勉強しなきゃいけない。
時間をかけて勉強しようと思うのであれば、MBAを取得する、中小企業診断士の講座に申し込む等方法はある。
しかし、それには時間もかかるし、かなりのお金もかかる。だからこそ勉強できてないって人も多いのではないか。
そんな皆さんに朗報だ。たった1500円でマーケティングとは何かを学べる方法がある。
その方法とは、今回ご紹介する『100円のコーラを1000円で売る方法』を読むことだ。
目次
『100円のコーラを1000円で売る方法』とは
読むのにかかった時間 1時間15分
本書の著者は永井孝尚さんというIBMのシニア・マーケティング・マネージャーを務めている方。つまりバリバリのマーケティング従事者だ。
入社後はマーケティングの傍ら自身もセールスマンとして活躍し、同社製品を日本市場シェア1位にまで輝かせた功労者。
それだけ優秀な方とあって、本書の作成には様々な参考文献を利用している。(27冊も!)
永井さんの本作品は宮前久美という女性営業担当の成長物語でもある。
僕らも彼女の成長を読み進めながら、マーケティングの基礎を理解することができる。。
事業の定義とは
本書で初めに紹介されているのは、事業の定義だ。
本書主人公の宮前は、営業として自社製品に強いこだわりを持っている。
そのため上司である与田にうちの事業は何か?と聞かれた際、お客様の役に立つ会計ソフトを提供することだと答えている。(当社製品は会計ソフト)
ただ、与田にとってはその答えは十分ではなかった。そしてかつての米国鉄道事業の失敗例を挙げるのである。
米国鉄道事業はかつては波に乗っていた。現在は車やバス、飛行機で米国内を旅行するというのが主流だが、昔は鉄道で移動するのが普通だった。
ただ、交通手段が多様化するにつれ、人々は少しずつ鉄道を利用しなくなっていった。しかし、米国鉄道事業者は何も対策を講じなかったのである。
何故かと言えば、鉄道事業者は自社を「鉄道事業者」と物理的に定義していたからだ。
与田はこれを製品志向の考え方と捉え、もっと広い視野(市場志向)で事業を定義すべきだったと述べている。
自社を「運送業」として広く扱っていれば、新興分野への対応が間に合ったかもしれない。
企業経営理論ではこれを事業ドメインの定義と呼ぶが、マーケティングではこうした定義の捉え方も大切なことが本書からわかる。
ドメインの定義方法には「物理的な定義」と「機能的な定義」があるが、本件は物理的な定義をしてしまったことが問題となる。
こうした物理的に定義をしてしまう状態をマーケティング・マイオピアと呼び、現在は機能的なドメインが好まれる傾向にある。
例えば、本書の著者が所属されているIBMでは、機能軸により事業の定義を行なっており、「顧客の問題を解決する」という機能を提示している。
企業戦略作成の第一歩にあたる、ドメインの定義を面白いほどさらっと理解することができる。
顧客満足とは何か
顧客満足には式がある。と言われたら皆さんはどのような反応をするだろうか。
本書では式があると明示されている。
顧客満足度の式
つまり、100点を求めている客に100点の商品・サービスを提供したところで、顧客満足は0になってしまうのだ。
皆さんも同様の経験をしたことがあるのではないだろうか。
例えば、AMAZONで安値で購入した販売元もよくわからない製品に不備があった際、問い合わせに真摯に対応してくれたらどう思うだろう。
きっと満足度は低まるどころか、高まるのではないだろうか。
ではその商品がソニーから購入したものであったのならば?
さすがソニーと思いつつも、どこかでそれで当たり前だろうという認識が残るのではないか。
この2つの違いは何かはもう明確だろう。事前の期待値だ。
ここからわかることは、顧客の期待通りのことしかできない会社の商品は売れないということ。
だから僕らは、顧客の予想を超える対応・商品をプレゼンする必要がある。
お客さまのいうことだけを聞いている状態のことをカスタマーマイオピアと呼ぶらしい。
あなたが営業担当であるのならば、日々の営業を振り返ってみるきっかけにもなるのではないだろうか。
プロダクトセリングとバリューセリング戦略
これは100円のコーラを1000円で売る方法の真髄だ。
何故100円でも売れないコーラと1000円でも売れるコーラがあるのだろうか。
本書ではこの例として、スーパーのコーラと高級ホテルで提供されるコーラをあげている。
両者の違いは、プロダクトを売っているのか、体験を売っているのかという違いだと与田は述べている。
高級ホテルで飲むコーラもそこらへんで売っているコーラも中身は一緒だ。
僕らが価値を感じるのは、高級ホテルのラウンジで、夜景を見ながら飲むコーラだ。これになら1000円払ってもいいという人も多いだろう。
つまりただ値引き勝負で商品を売ればいいという訳ではない。
本書でも紹介されているが、こうしたコスト削減で安く売る方法はマーケットリーダーの戦略だ。
マーケットリーダは「規模の経済性」が伴い、商品を他社よりも安く販売できる。
しかし、マーケットチャレンジャーが同様の戦略をとると確実に倒産する。
マーケットチャレンジャーにはむしろ、他社との差別化(「差別化戦略」)が重要になる。
こうした競争優位・劣位の戦略を学ぶことができるのも、本書の強みと言える。
まとめ
本書を読めば、マーケティングって何?ってよくわからなかった人も少しはマーケティングとは?がわかるようになる。
そしてもっと深く学んでみたいという人がいれば、是非一度勉強してみることをお勧めする。
細かい一つ一つの戦略を勉強しようと思ったら、本書参考文献に載っている本を読みあさってみればいい。
ただもし、マーケティングの全体像を勉強してみたくなったならば、中小企業診断士の資格取得をお勧めしたい。
僕も勉強をしていたオンラインの資格学校に「Studying」という学校がある。
受講者は延べ60,000人超え。マインドマップを用いた学習方法が独特な学校だ。
興味が湧いたら、覗いてみるのもいいかもしれない。
感想/考察
物語基調になっているためわかりやすい
本書の良さは分かり易さだ。
物語基調になっているため、僕らもまるで本書の中にいる登場人物のように一つ一つの事象を考えることができる。
また、普通だったらこう考えちゃうよねという内容を主人公の宮前が代弁してくれる。
そのためストレスなく読み進めることができる。
本書自体もマーケティングに則り構成されているのかもしれない。
ブログを書いてる人にもお勧めの一冊
本書は決して営業やマーケティング担当入門者だけのものではない。
僕も現在銀行で法人営業を担当しているが、そこにどう活かすかと言うよりも自身のブログにどう活かせるかと言う目線で本書を読んでいた。
ブログはつい自分がどういったブログを書くかに焦点が当てられがちになる。
でも、ブログを見てもらうためにはみる人にメリットを提供できなければならない。
現在note等新しい媒体が増えたことによって、ブログ記事を書く人は劇的に増えている。
その中でどう立ち振る舞い、PVを集めるかには絶対に戦略が必要だ。
次の「どのように実践できるか」でも述べるが、僕にとってブログは新しい事業創出の入り口に過ぎない。
ただ記事を書いているだけのブログになっている方もぜひ読んでみると参考になると思う。
どのように実践できるか
新しいブログの活用方法を考える
僕は当ブログを作成するにあたり、ビジネス本の紹介のブログをテーマに掲げた。
これは実は、本書や中小企業診断士の勉強でかじったマーケティングに基づいての自分なりの戦略だ。
ニッチ分野で攻め、当ブログを他の自分がやりたいことの入り口に使おうと思っている訳だ。
当ブログがそれなりに知名度が上がれば僕はできることが広がる。
例えば本のコンサルティング、ブログのコンサル、新しいプラットフォームの作成。と様々なことに繋げることができる。
こういった意味では僕は既に本書の戦略を活用してブログを作成していると言うことになる。
浅い知識であってもないよりはマシだ。結果が出るまで自分の信じた戦略をとっていきたい。
投稿日2020/10/05(3522字)2h24min15sec/当記事を書き上げるのにかかった時間